先日、友人が経営する会社の事務所を訪れたとき、社長室の奥にある業務用金庫を見せてもらいました。友人は昔から、自分が社長になったら揃えたいものがふたつあるといっていたのですが、ひとつは豪華な革張りの黒椅子で、もうひとつは大型の業務用金庫でした。実際に見せてもらった金庫の中には、現金はもちろんのことたくさんの重要書類も入れられています。サイズも確かにかなり大型で、防犯機能も本格的なのものだということでした。
小学校からの幼馴染みであったその友人は、もともとワンマンなタイプであり、クラスでも注目を集める存在でした。その友人が大学卒業してすぐに会社を立ち上げたと聞いたときは、同級生の多くが「さもありなん」と思ったものです。

しかし個性的な友人には学生時代から敵が多く、それは社会人になってからも同様だったようです。その証拠に友人はついこの間まで共同経営者とトラブルが続いており、ようやく一段落がついたところで、わたしを招待してくれたというわけです。
友人は金庫を眺めながらため息をつきました。今回のトラブルで、人間関係の構築がいかに大切かということを、身を以って味わったというのですが、実は共同経営者とイザコザがあったとき、実力行使としてその金庫のダイヤル番号を勝手に変えられてしまったというのです。取引上大切な書類は取り出せず、現金を使うこともできなくなったため、非常に困ったとのことでした。

わたしとしては、そもそも金庫のダイヤル番号が変更出来ることを知りませんでしたので、まずそのことに驚きました。そしてその後どうやって金庫を開けたのかを訪ねると、懇意にしている鍵屋さんに開けてもらったとのことでした。
その鍵屋さんは小一時間で業務用金庫を開けてしまったそうで、そうなるともはや防犯金庫の存在意義にも関わるという気がしてきます。
いずれにしろ、防犯用の金庫というのも諸刃の剣なのだと実感した出来ごとでした。